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「間取り」について考える 〜 間取りはプログラム、それを支えるのが文化というOS
暮らしの良品研究所 土谷貞雄

間取りとは何だろう

 間取りというのは暮らしのプログラムと言えます。自分の暮らし方を実現するために計画された空間と空間を、機能を決めて結びつけたものです。現代ではその公式をnLDKという個室の数+リビング、ダイニング、キッチンというのが一般的なプログラムになっています。一方それを支えるのが文化というOSです。プログラムはOSがなければ動かないように、実際間取りの変遷を見ると、時代やそれぞれの文化によって間取りは変わります。今では一般的な言葉のリビングルームでさえ、住宅の間取りとして使われるようになるのは1910年頃アメリカが始まりです。近代住宅発祥の地イギリスでは19世紀までホール、サロン、スタディールーム、スモーキングルーム、ダイニング、などといった個別の目的をもった部屋が連なっていましたが、こうした部屋の名称も今とは少し違った意味を持っている場合もあります。例えばダイニングは家族が食事をするというより、産業革命以前は公的な空間として使われ、人を招く重要な部屋でした。それは家に公式な仕事の場所としての意味もあったからです。

 日本でも明治以前は、家とは公式の場所でした。そこで仕事をし、人が訪ねてきて会合をする場所でした。ですので、座敷とは人を接客する場所でした。近代になり、公式な場所の意味合いが少なくなっても、応接という人と会うという機能が残されていきます。応接がどのくらい使われていたかはわかりませんが、その時代の文化として、そうした空間を持つべきであるという共通認識が存在していたのです。

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nLDKという公式

 先ほどのnLDKですが、この公式が日本に定着するのは1950年代の終わり、政府が供給する大都市の公営住宅の間取りで、小さな居住面積で生活空間を実現させようとダイニングとキッチンを一緒にした空間を作り出します。それまで裏方だった台所が表舞台に現れたのです。ダイニングとキッチンが一緒になったこの間取りは新しい都市の住宅のあり方としてとても革新的に映ったのです。団地住まいというのは、今でこそ、庶民的な感じがありますが、その頃はとてもハイカラな暮らし方の象徴でした。こうして定着した、暮らしのプログラムは、時代のOSに支えられて進化してきました。特にアメリカで行われるホームパーティーやリビングでの家族の団らんの風景は日本人の憧れとして根底にあったように思います。一戸当たりの床面積も大きくなり、また世帯当たりの人数も減ってきて、今では一人当たりの床面積は各段に広くなりました。リビングルームの広さは豊かさの象徴でした。しかしこのリビングで何をして暮らすのか。そうしたことがだんだんと頭をよぎるようになってきたのです。

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さまざまな試み

 建築家達はよりよい暮らしという命題の中で、また時代の変化に対応してプログラムを変えようと試行錯誤を続けてきました。例えば、個室を思い切り小さくしたり、スタディールームを共有したり、家事室を整備して家事導線の効率化をはかったり、リビングよりダイニングを充実させてそこを居住空間の中心にしたりと、様々な試みをしてきました。中にはプログラムをなくして大きなワンルームをつくる人もいました。寝る場所や、くつろぐ場所を規定しないで、大きくはサービスする部分とされる部分に区切りました。無印良品の家「木の家」はそうした背景によって生まれています。しかしそれらの試みはOSを変えることなく、プログラムだけを変えようとしたことに限界があったとも言えるかもしれません。大きな部屋をプログラムなしに暮らそうと思えば、常に整った状態で暮らさなければ、ものが溢れかえることになります。実際にはお手伝いさんでもいなければ整った空間を維持することは難しいかもしれません。

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今こそ自分の理想の暮らしを考える

 間取りとは文化の上に成り立ってくるものです。自分がどんな暮らしをしたいのかというOSを組み替え直し、そしてそのための最適な間取りというプログラムを選択することです。

 今、日本は目覚ましい経済発展を超えて成熟した時代に入ったと言えるでしょう。しかし暮らし方についてはまだまだこれからだという感じもします。自分の中にある「理想の暮らし」とはどういうものか、具体的なイメージを強く持つ必要があるでしょう。さらに暮らし方とはプログラムの変化ではなく、OSという文化の変化だととらえて、自分の理想の暮らしを考えてみてはいかがでしょうか。

 IDEEにはこうしたOSの一つとして時代をリードし続けてほしいと思います。まだ見ぬ世界を、いつも見せてくれる、それがIDEEです。

 みなさんはどんな暮らしをしたいですか?

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○ご意見等は下記のアドレスまでお願い致します。
house-project@idee.co.jp(担当:佐藤)                  

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