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IDÉE HOUSE PROJECTの最新情報をお送りするこのページ。
イベントの報告やその時々の出来事をお伝えしていきます。


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COLUMN

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「暮らす」という楽しみ —— コラム連載スタートによせて
IDÉE  川渕恵理子

 イデーのショッピングサイトIDÉE SHOP Online のなかに、「Maisons avec IDÉE ー イデーのある暮らしの風景」というコーナーがあるのをご存じでしょうか。決して目立つわけではないにも関わらず、常に高いアクセス数を誇るこのページは、イデーの家具や照明などを実際にお使い頂いている方々から の投稿によってつくられています。その写真に表れるセンスたるや、我々イデースタッフから見ても驚きと発見に満ちた魅力的なものなのですが、同時に大変興味深いのがそのコメントです。ある家具を購入するまでにあれこれ悩んだストーリーや、引越しにあわせてソファを張り替えて使い続けている様子など、暮らしの変化にあわせて住まいを少しずつ熟成させていく様子が語られています。それはその人にとっての理想の住まいを実現するための苦労話であると同時に、生活を愛しむ人に特有な楽しさに満ちています。


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 しかしながら日本の一般的な事情というと、必ずしもそうした例ばかりではないようです。住み始めてから家具やしつらえなど、またメンテナンスにかける費用は諸外国に比べ圧倒的に低いといわれています。引渡しの際には小さなキズひとつ見逃さないストイックさを持っていたはずが、一度手に入れてしまうとお金も愛情もかけずに、あとは劣化していくのをそのままにしてしまう——どうやらこれが今の日本の現実らしいのです。

 この事実に対して私が覚える感情は怒りや落胆というよりは、単純に「もったいない!」という言葉で表せます。「壁の色は何色にしよう」、「朝ごはんを食べながらここから緑が見えると良いな」といったことに頭をめぐらせること、自分にとっての心地良い暮らしを追及しないとすれば、それを人生の大きな楽しみを放棄していると言えるのではないでしょうか。そもそも日本には古くから普請道楽という言葉があるように、お抱えの大工や庭師を抱えて、家を建てたら次は茶室、今度はその眺めを整えるために庭をいじるといった風に、暮らしながらあれこれ住まいに手を加えていく文化がありました。それが戦後の住宅の工業製品化、大量供給の必要性という背景のなかで、画一化の一途を遂げたわけです。

 そして一定レベルの住まいが人々に行き渡り、個人の価値観がますます多様化する今、かつて一部の好事家にとってのものだった普請道楽の世界に、誰もが足を踏み入れられる時代になったと言えるかもしれません。それにはお金をただかければよいというわけではなく、あれこれ自分の未来の生活に思いをめぐらせる想像力、それが何より必要です。これは人生を豊かで楽しいものにするためのただひとつの方法なのではないでしょうか。


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 IDÉE HOUSE PROJECTでは暮らしという視点から住まいを提案し続けていますが、美しく快適な暮らしに最大公約数的な答えは存在しないと思っています。その人その人の暮らしに対する考え方、趣味性が醸し出された空間、それが私達の思う理想の住まいです。そしてIDÉE SHOPの空間やひとつひとつの家具やオブジェが、そうした暮らしに対する想像力をかきたてる存在でありたいとイデーでは考えています。そしてこのコラムもまた何らかの暮らしと住まいについてのヒントとなることを願って、スタートをしていくこととしましょう。

「Maisons avec IDÉE — イデーのある暮らしの風景」には、IDEE SHOP Onlineのトップページ左側メニュー「お部屋の写真」よりお入りいただけます。


○ご意見等は下記のアドレスまでお願い致します。
house-project@idee.co.jp(担当:佐藤)                  

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